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岡山大 マウスiPS細胞由来がん幹細胞から 新しい“膵臓がんモデル”の作成に世界初の成功

2016年12月28日
岡山大学大学院自然科学研究科(工)ナノバイオシステム分子設計学研究室の妹尾昌治教授、笠井智成講師らの研究グループは、ヒトの膵臓がんに由来する細胞株を培養する液体の上清を用いて、マウスのiPS 細胞を培養。iPS細胞ががん幹細胞へ誘導、変化することを確認しました。また、このがん幹細胞をヌードマウスの皮下に移植すると、膵臓腺管がん(pancreatic ductal adenocarcinoma:PDAC)の形態、つまり膵臓がんになることを突き止めました。これら、一連の研究成果は、従来の遺伝子の変異や挿入欠失などの操作を行わずに臓器に特異的ながん(腫瘍)を人為的に作り出したものであり、世界で初めての成功です。本研究成果は12月末、がん研究の国際科学雑誌『American Journal of Cancer Research』(12月1日号)に掲載されます。
 今回の研究成果は、がん幹細胞を正常な組織に移植して形成した腫瘍が、腺房-導管異形成(acinar to ductal metaplasia:ADM)や膵上皮内腫瘍性病変(Pancreatic intraepithelial neoplasia, PanIN)、膵臓腺管がん(pancreatic ductal adenocarcinoma:PDAC)といった、膵臓がんに特徴的な形態を示しています。ところが、形成されたがん細胞には特徴的な遺伝子の変異は見られず、特に有名ながん遺伝子である「Kras」にも変異が無かったことから、世界的に新しいがんの初期発生モデルといえます。 
 がんは私たちの生命を脅かす存在であり、特に膵臓がんは早期発見が非常に困難であり、予後も不良ながんです。本研究成果は、これまでのがん研究や治療研究をさらに進化させるものであり、新しい研究モデルとして大いに貢献することが期待されます。

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